• 櫻井昭寛

    岩蔵型 ビリガンナ

    1尺(約30cm)

    先代岩蔵の後期の作品の中でも代表的な作品である。蕪頭(かぶらあたま)の曲線が絶妙で美しく、特に肩のビリカンナと呼ばれる盛り上がった特殊なカンナの技法は見事である。胴模様として繊細かつ奔放に描かれた菊の花は多彩で見事な出来栄えであり、色彩の変化と白色の空間に散りばめた細やかな蝶々なども出色の出来栄えである。表情が温和であり、形態の調和も絶妙である。岩蔵の特徴とも言える郷愁を誘うような作品。

    岩蔵型 太胴

    7寸(約21cm)

    桜井こけしを代表する型。先代岩蔵の復活初期の作品の中でも代表的な作品である。大振りで豊かな量感、衒(てら)いのないのびのびとした面描、たっぷりとした二輪の車菊は見事である。単なる写しではなく、昭寛の新しい感性によるみずみずしい創造であることがわかる。

    岩蔵型 えじこ

    約13cm

    蕪頭(かぶらあたま)の曲線が絶妙で美しく、胴のビリカンナと呼ばれる盛り上がった特殊なカンナの技法は見事である。

    本人型 <本展覧会用の新作>

    1尺3寸・7寸(約40cm・21cm)

    鳴子こけしの創始者である「大沼又五郎」と同時代鳴子系を製作していた「宮本永吉」。この現存する古い2つの鳴子のこけしの特徴を元に鳴子の創成期のこけしを昭寛の感性にて追求した。昭寛らしいの華やかな色彩、猫彩による古鳴子こけしと言えるだろう。

  • 櫻井尚道

    永吉型

    1尺(約30cm)

    永吉の作品は岩蔵、甚四郎と並ぶ古鳴子の代表的な作品である。祖父昭二、父昭寛も庄司永吉の型に取り組んで数々の名品を作った。尚道の永吉型は昭二、昭寛のものと違った味わいがある。尚道らしい素朴さと瑞々しさがある。

    健三郎型(初期型)

    7寸(約21cm)

    師匠で有り兄でもある岩蔵の特徴を色濃く残す健三郎、その中でも初期の作品は健三郎らしい自由奔放でありながら独自の世界観のあるこけしだ。祖父昭二、父昭寛も大沼健三郎の型に取り組んで数々の名品を作った。尚道の健三郎型は健三郎の自由奔放さを大胆で伸びやかな描彩で表現した。

    昭二型 えじこ

    4寸(約12cm)

    師である岩蔵も製作していた轆轤線描彩のえじこ。肩のビリガンナと赤と紫の轆轤線が華やかで、桜井家らしいえじこのこけしとなっている。

    本人型 <本展覧会用の新作>

    1尺3寸・7寸(約40cm・21cm)

    健三郎のこけしを元に、古鳴子の佇まいを表現した。面描は創成期の鳴子こけしを参考に尚道が創造したものである。胴の描彩に使われる染料は創成期のこけしが作られていた時代と同様に自然から抽出した染料にて製作。大沼岩蔵も描いていた中山平の景色である菖蒲と蝶を描いた。

  • 鈴木明

    胞吉(えなきち)型​

    1尺(約30cm)

    高橋胞吉(1861-1939)が確立した「仙台こけし」。近年まで系統系譜が不明で系統分類がされていなかったが、古い作並との関わりがわかり、現在「仙台こけし」は作並系に属する。明の祖父、鈴木清が「胞吉型」の再現に取り組み、次第に自分の「胞吉型」を確立。清の息子の昭二、その息子の明もまた自身の「胞吉型」を制作している。

    胞吉型 直胴​

    7寸(約21cm)

    胞吉型にはくびれ型と直胴があり、こちらは直胴型。赤と黒の二色の描彩、どことなく憂いを帯びた面差しが「胞吉型」の特徴。息子・敬の「胞吉型」との違いを見るのも、こけしの楽しみ方の一つ。

    本人型 えじこ

    4寸(約12cm)

    「えじこ」は東北地方で乳児を入れる藁のカゴを指す言葉。現在はほとんど使われてはいないが、こけしの形に残っている。とんがり帽子に大胆な赤と黒のボーダー柄が、現代的で明らしいえじことなっている。

    本人型 <本展覧会用の新作>

    1尺3寸:

    頭部を日本髪風のだんごに結い上げた本人型。襟を描くことでより着物らしい胴模様となっている。描彩に赤と黒の2色のみを使うのが仙台こけしの特徴。木地を滑らかに仕上げ、さらに蠟引きしているためツヤがある。

     

    7寸:

    形や描彩は1尺3寸のもの同じタイプだが、こちらは蠟引きをしていないため質感が異なる。

  • 鈴木敬

    胞吉(えなきち)型​

    1尺(約30cm)

    父である明の「胞吉型」と見比べると面白い。同じ胞吉型のこけしではあっても、形や表情に個性が表れている。敬の胞吉は、筆のにじみや、ざらざらした仕上げなど、胞吉時代のこけしに近い。

    胞吉型 直胴​

    7寸(約21cm)

    直胴は古い形のこけしで、子どもが手に持ちやすいように胴が細く、そもそも横にして置くものだった。こけしが元は子どもの手遊び人形だったことがわかる。

    本人型 えじこ

    4寸(約12cm)

    胞吉型のえじこを復元したもの。サラっと描かれた表情が穏やかでとても良い。胞吉の古品をよく研究しており、胞吉の侘びた味わいがよく表れている。

    本人型 <本展覧会用の新作>

    1尺3寸:

    大きめの頭、リボンとおかっぱが愛らしい、敬さんの本人型。このこけしは、昔、高橋胞吉(1861-1939)が「おかっぱに赤のリボン」のついたこけしを作っていた、という話を元に制作されている。胞吉のそのこけしは現存していないため、完全な創作である。

     

    7寸:

    薄墨を使った描彩は今回初めての試み。デフォルメした花模様をシンプルな描彩で仕上げた。描彩のにじみや墨の濃淡、木の目を活かした頭部など、味わい深い作品。

  • 早坂政弘

    本人型

    1尺(約30cm)

    遠刈田系こけしの特徴は、頭部が差し込み式で比較的大きく、比べて胴が細め。胴模様は花模様が中心で華やか。放射状の派手な頭部模様と三日月状の眉目も大きな特徴。そして微笑んでいるような切れ長の眼が魅力です。胴模様は赤ロクロ線と重ね菊をあしらった遠刈田系らしいこけし。

    本人型

    7寸(約21cm)

    胴模様は緑のロクロ線と蕾に重ね菊。遠刈田系は菊模様の他に、梅や木目模様などがある。手書きの多様な花模様は各こけし系統の中で一番多いと言われている。

    皮付きえじここけしの小物入れ

    5寸(約15cm)

    こけし工人は色々なえじここけしを制作しているが、こちらは木の皮をそのまま活かした珍しいタイプ。皮は虫がつきやすく、そのまま活かして使える木材は貴重。

    本人型 帯入り重ね菊・ビリ入りこけし <本展覧会用の新作>

    1尺3寸・7寸(約40cm・21cm)

    帯入り重ね菊(1尺3寸):

    伝統の形をイメージしつつ、ミラノ展向けに新しいこけしを制作した。特にビリの技術をみていただきたい。帯の描彩が表のみのこけしもあるが、背面まで描きこみをしている。首元は襟を描き、より着物らしい描彩に仕上げた。

     

    ビリ入りこけし(7寸):

    胴体のビリかんな部分の赤紫の色は、通常の伝統こけしでは使用していない色で、このミラノ展用に調合したもの。